なぜ私は毎日走っているのか。フルマラソン・サブ4(サブフォー)への道

50歳を過ぎた普通のサラリーマンが、ある出来事をきっかけに毎日走り続けるそのモチベーションの数々。

初めての小布施見にマラソン〜食べて走って真夏の21.0975km。

「小布施見にマラソン」というハーフマラソンの大会がある。
速さを競うだけではなく、立ち止まり、景色を見て、楽しみながら走るという「見に(ミニ)マラソン」である。会場は、葛飾北斎ゆかりの地、長野県小布施町コンセプトは、「土手を行く 野道を駆ける 路地を走る」。エイドには様々な食べ物が溢れ、地元住民の応援も温かい。
そして、なんといっても有名なのが、「参加者の大半が本気で仮装する。」ということ(笑)。
しかもよく見かける「ファンラン」ではなく、その言葉が一般的になる前から続く、実に個性的なレースなのである。
そんなレースに、初めて出場したのは、2015年7月19日。初めての長野マラソンを完走してから3か月後のことだった。
高校の同級生に誘われ、なんだか楽しそうという理由で、何の迷いもなくエントリー。
「とにかくエイドが充実していて、食べながらゆっくり走って、お腹がいっぱいになって、完走した後は体重が増えてるんだよ〜。アイスクリームまで出るんだよ! 」
というのが誘いの言葉。
せっかくフルマラソンを走り切れる力がついたんだから、ハーフを楽しみながら走るというのもいいのかな、と思いながら参加した。
美味しいものをたくさん食べられる、仮装がスゴい、ということのほかに、密かにこの大会が個性的なのは、真夏に開催される大会であるということ。スタート時間が朝の6時なのである。
運賃が日本一高いとの呼び声が高い長野電鉄長野線が、毎年早朝に臨時列車を3本運行してくれるので、県外の宿泊者を含めて長野市内から参加するほとんどのランナーがこの列車を利用する。
想像してみてください。
小布施見にマラソンのランナーで埋め尽くされた車内。ぎゅうぎゅうのすし詰め状態。そしてほとんどの人が、
 
「仮装をしている。」
 
のである(笑)。
これは、かなり非日常な世界。すでにものすごく楽しい(笑)。
高校同級生たちと待ち合わせをして記念撮影した後はいよいよスタートである。号砲一発。小さな小布施町を埋め尽くす7,000人を超えるランナーが、田んぼのあぜ道や農道を続々と走っていく風景は、圧巻である。朝露をつけた稲が青々としてとても美しい。
私設公設問わず、それぞれのエイドはボランティアの方々で賑わい、活気があり、そして当然のことながら、食べると美味い!
プラムやトマトなど、自家製のものが多く、牛乳や焼き肉など、かなりボリューミーなものまであり、いったん足を止めてしまうと、もうタイムなんてどうでもよくなってくる。
と言いながら、何となく慌てて走り始めてしまうという中途半端なことをした初めての参加は、終わってみると後悔が残るものとなってしまった。もっとじっくりと食べて、会話して、たくさん時間を使って楽しめばよかった!
そしてあろうことか、ラスト3km辺りで出されたアイスクリームをスルーしてしまうという大失態(笑)。ここまで来てタイムなんて関係ないよ、しっかり立ち止まってしっかり食べよう! という割り切りは、この時はまだなく、あれよあれよと流れに流されてただただ走ってしまった。残念。楽しむべきポイントをしっかり見定めて楽しむ。そんなことも、やはりマラソン経験を積まないとうまくできないらしい。
ゴール後は、先着の友人に囲まれ、記念撮影をしたり会話を楽しんだり、後から来る友人たちを待ったりと、ひとまず完走という安堵感も手伝ってか、すごく楽しいいい時間を過ごした。
制限時間が、歩いてもゴールできるくらいの5時間という緩やかな設定なので、この大会だけという友人も、後から後からどんどんゴールしてくる人でごった返す中、歓喜のゴールを迎える。そんなレアな場面もこの大会の魅力だ。
走ることがままならないガッツリ系のコスプレ集団も笑顔で次々とゴール。この時は確か宇宙戦艦ヤマトを纏った人、というか宇宙戦艦ヤマトそのもの(笑)が、コスチューム大賞に輝いたと思う。この出で立ちでハーフマラソンを完走するのは、準備を含めて本当に恐れ入るエネルギーである。大賞に限らず、コスプレの皆さんは、見ているだけで、楽しい。
そして驚いたことに、ゴール後、同級生女子のMポランが、ランニング専門雑誌の記者に声をかけられ、インタビューを受けることになったのである。ああ、雑誌ってこうやってできるんだな〜、と、翌月の「ランナーズ」を書店の店頭で見てつくづく感じた。
(買わないんかい!w)

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ボランティアの皆さんと取材を受けるMポラン