なぜ私は毎日走っているのか。フルマラソン・サブ4(サブフォー)への道

50歳を過ぎた普通のサラリーマンが、ある出来事をきっかけに毎日走り続けるそのモチベーションの数々。

初めてのコスチューム走〜第16回小布施見にマラソン

小布施見にマラソンは、コスチュームランが楽しめる全国でもトップクラスの大会である。
ベストコスチューム賞の審査委員長を務め、第1回から大会を盛り上げているのが大河ドラマ「いだてん」のマラソン指導で有名な金哲彦氏ということで、小布施見にマラソン「金ちゃんの仮装大賞」(笑)とも呼ばれている(らしい(笑))。
平成30(2018)年7月15日。そんなふうなことで全国的にも有名なハーフマラソン大会に、私は3年ぶり2回目の参加をしたのであった。
 
しかも仮装して(笑)。
 
大会当日の1週間前、これまでも度々登場している私の大親友Y口君から私あてに連絡があった。
「何年か前に着ていたM宙(私のこと)の学ランて、まだ取ってあったりする?」
答えは「イエス」であった。
そして、その学ランを身に付けて走れるかという質問にも、私は迷わず「OK!」と答えていたのであった(笑)。
大親友は、元応援団長。彼はその応援団長のコスチュームで走るという(笑)。マジか(笑)。というか、その衣装、まだ取ってあったのか(笑)。
設定としては、「走る応援団と応援する学生」である。マニアックな説明をするならば「応援団とそれをサポートする生徒会常任幹事(学ラン着用)という長野県長野高等学校の往時の応援風景」なのであった(笑)。
当日、またしても我々長野高校36回生は集結した。N本君やM院長、Y川君、M角(ずみ)君、M沢さん、Mポラン、そしてサプライズ登場だったA川君の面々。元々陽気で面白いことが大好きな彼らをして、
「大丈夫なの? それ(笑)」
と失笑せしめたこのコスチューム。
問題は、生きるか死ぬかの大問題だった。
それは、小布施見にマラソンが真夏に行われる大会であるということだった。暑さ対策でスタート時間が朝の6時にセットされ、初めのうちは気持ちのよい長野の空気の中を走れるのだが、ゴールする頃は真夏の日差しが容赦なく降り注ぐ過酷な暑さとの戦いとなる、実にハードな大会なのである。
その、ただでさえ苦しい条件の中、さらなる負荷をかけて走ろうというのだから、ウケを狙うのにも程がある(笑)。
それでも大親友も私も、普段からしっかりとした走り込みができているという自負があったため、さほど(周囲が心配するほど(笑うほどw))気にしてはいなかった。
 
「大丈夫だろ。」
 
一応、下半身は黒の短パンという最低限の暑さ対策はとりつつ、私はゆっくりとスタートをした。しかし、大親友は、柔道着に袴という、暑さ対策のしようがない現役さながら(そのまま)の姿で走るのみであった(笑)。大丈夫か。
コスチュームを身に纏うと人と人のふれあいがますます楽しくなる。大親友と私は、走り始めてすぐに周囲から注がれる好奇の視線と失笑をエネルギーに変換し、テンションをどんどん上げていくのであった(笑)。
 
「いいぞ! 学生さん!(笑)」
 
周囲から励ましの声が飛ぶ。楽しい。
当初は単に学生服が珍しいというだけであったため、2人は「コンセプトを明確にしよう」という名の下に、ランナーたちのナンバーカードに書かれた「私は◯◯から来ました」という自己アピールを頼りに行き交うランナーたちに声をかけ、話をしつつ、最終的には周囲を巻き込んでそのランナーを「応援」し始めたのであった(笑)。
 
「フレーっ! フレーっ! ◯◯さん!」
 
声を張り上げ、手拍子をする。
これがまた楽しくて、2人はどんどん調子に乗っていくのであった(笑)。
そして、程なくして大親友Y口君の口数が少なくなっていった。
 
「気持ち悪い」
 
そこで彼は、こんなときのために常日頃から携行しているドーピング3点セットを活用して、この難局を乗り切るのであった。ここで、彼が愛用しているドーピング3点セット(あくまで彼独自の呼び方である念のため(笑))について紹介しておきたい(ちなみに私はこれまで1度も薬物の世話になったことがないのでわからない)。
 
・痙攣対策→「芍薬甘草湯(ツムラ68)」
・胃痛対策→「ガスター10(水なしで飲めるタイプ)」
※これは普通の胃薬でも良い。
・痛み対策→「ロキソニン
※膝、股関節、足首などの痛みに効く。
 
「これを御守り代わりに持って走ります。」とは、取材に答えてくれた彼の弁である。飲まないまでも、準備をして本番に臨むという姿勢は大事であるし、彼曰く「本当に速攻で効く」とのことらしいので、私も次の大会では準備をしてみようかと考えている。
 
そして、気持ち悪い状態から脱出した大親友と私は、後半戦に突入。再びランナーを捕まえての勝手な応援を繰り返し、時にディープに話し込んだりしながら快調に飛ばし(別な意味でも飛ばし(笑))ていったのであった。
が、しかし、そんな我々に次なる難題が降り注ぐのであった。これは、我々だけでなく、全てのランナーたちに共通の難題であった。
猛暑の夏である。スタートの午前6時ですでに23.8℃だった気温がグングンと上昇し、30℃を超えた時点で「走行中止」となってしまったのである。ランナーたちは、原則歩いてのゴールとなってしまい、マラソン大会なのに「走ってはいけません」という、学校の廊下のような(笑)、単なる夏の我慢大会のような、何とも不完全燃焼な感じになってしまったのである。
それでもゴールはゴール。よくがんばりましたと、皆、お互いを讃え合った。
 
悪いことばかりではなかった。
おかげで恒例のアイスクリームはしっかりゲットすることができて優雅に食べながら歩く。見上げるとそこには熱気球(抽選でラスト1枠を引き当てた高校同級生N本君親子が乗っていたらしい)。優雅だ。
おかげでスーパーマリオブラザーズのコスチュームに身を包んだ母娘と仲良しになり、写真を撮ったり撮られたりしながら楽しくゴール。悪くない。
おかげで前回沿道でその姿を拝見することができなかった、前小布施町立図書館館長であり会社OBである先輩S氏としっかり会話をすることができた。平成最後の町議会議員選挙での健闘を祈ります。
そして、ベストコスチューム賞の審査委員長である金哲彦さんと遭遇。彼は我々の出で立ちを見て驚きを隠せない様子であった。
「これでホントに走ってきたんですか?」
「あ、はい。ホントです(笑)」
「これは一体なんなんですか?」
「高校時代の応援団のスタイルです。2人とも
当時のものをそのまま着用しています。」
「そんな(貴重な)もの、よく取ってありましたね!」
「そこですか!!(笑)」
プロのランニングコーチ金哲彦さんの我々への称賛は、そんな走りとは関係のないところに注がれたのであった。
 
グロスタイム2時間40分8秒
ネットタイム(参考)2時間37分14秒

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コスチュームを身に纏うと人と人のふれあいがますます楽しくなる