なぜ私は毎日走っているのか。フルマラソン・サブ4(サブフォー)への道

50歳を過ぎた普通のサラリーマンが、ある出来事をきっかけに毎日走り続けるそのモチベーションの数々。

ランニングコースいろいろ〜「となりのトトロ」コース。

何を隠そうれっきとした東京都民である私の家は、東京都内にある。いや、正確に言うと「都内」ではなく「都下」。つまり23区内ではない多摩地域清瀬市という人口7万5,000人の町にある。ここ、大事です。
長野市の人間にとっての「長野」が長野市若しくはその近隣をイメージする呼称であるように、23区内の方々にとって多摩地域の市町村はある意味というかほぼ「東京」ではないのである(映画「翔んで埼玉」参照(笑))。
三方を埼玉に囲まれた清瀬。どこに行くにも埼玉を通らなければならないと言っても過言ではなく、日本の大多数の人は清瀬市は埼玉県だと考えているきらいがある。対象的に、三方を横浜市などの神奈川県に囲まれているにもかかわらず、きちんと東京都であると思われている南側の町田市がうらやましい。
そんな清瀬市での暮らし。長閑な中に、ある緊張を強いられるのである。それは、
 
   巨匠・宮﨑駿とすれ違うリスクがある
 
ということなのである(笑)。
リスクというか、これはむしろラッキーで光栄なことなのだが、この5年間長野勤務で清瀬滞在は土日に限られている私でさえ、既に3回遭遇している。そのうちの1回は自宅からわずか100mの至近距離。つまり、巨匠・宮﨑駿は、その辺をフツーに散歩しているのである。こちらが車に乗っているなど、条件的に声を掛けさせていだだく環境でなかったこともあり会話はまだないものの、それはかなりのリスクである。油断がならない(笑)。
そう、巨匠・宮﨑駿は、ここ清瀬から東村山に広がる武蔵野の森を拠点にして「となりのトトロ」をはじめとした数々の名作を世に送り出しているのであった。
今回ご紹介するのは、その「となりのトトロ」に登場する「七国山」のモデルである八国山緑地を経由するランニングコース。主人公のサツキとメイの母が入院している「七国山病院」のモデル新山手病院もその敷地内に位置している。
八国山緑地は東村山市内にある都立公園。そこを抜けると、TBS「8時だよ全員集合!」で全国的に有名になった東村山音頭にも歌われた多摩湖に至る。「庭先ぁ、多摩湖〜♪」である。多摩湖からは富士山、西武ドーム西武園ゆうえんちなどが展望できてとても気持ちがいい。晴れた日などはここまで7kmの道のりを走り切った達成感もあって気分がノリノリになる。
時間が許すなら、足を延ばして多摩湖一周コースにチャレンジしてもいい。湖の周りには専用のランニングコースがあり、車に轢かれる心配なく走ることができる。適度なアップダウンもあって、いいトレーニングになる。
アップダウンというと、話を戻して八国山緑地。東西に伸びる小高い山の約2kmの稜線を走るコースである。散歩の人、ランナー、皆思い思いに木漏れ日が美しい武蔵野の雑木林の中を通り抜けてゆく。雑木林の中の遊歩道はフワフワで、脚にも優しい。
鎌倉時代、幕府を滅亡に追い込んだ新田義貞の軍が鎌倉街道を南下した折に陣を張った場所でもあるため、「将軍塚」という石碑が建てられている。
八国山緑地を抜けるとすぐに西武園競輪場、そして西武園ゆうえんちがある。その脇を抜け、多摩湖に至るのである。西武園ゆうえんちの観覧車の赤と白が青空に溶けて美しい。桜の季節はさらに美しさが増す。青と白、そして赤のコントラストが実にいい。ゴルフ場の緑も加わって、基本的にはカラフルさを楽しむコースということになるかもしれない。
長い時間走るランニングは、飽きとの戦いでもある。西武ドームの銀色の屋根を含めた美しく流れゆく景色は、ランニングのペースを上げてくれるまさにエナジードリンク、筋肉増強剤である。
グルっと多摩湖を堪能した後は、都道府中街道がその名を志木街道に変えるポイントとなっている交差点を通って所沢街道経由で清瀬に向かう。新型コロナウイルスで入寂した巨匠・志村けんの実家の横を通る。ここ2か月長野に拘束された状態の我が身としては、帰京後はいち早くこのコースを走り、笑いの巨匠の実家前で合掌させていただきたい気持ちでいっぱいである。
となりのトトロコースは、空と湖の抜けるような青と、武蔵野の雑木林の爽やかな緑のコントラスト、そしてアニメとコントの2大巨匠を生んだ長閑な東京都下を堪能できるピクニック感満載のアドベンチャーコースなのである。

f:id:matsuu51:20200519004228j:plain