なぜ私は毎日走っているのか。フルマラソン・サブ4(サブフォー)への道

50歳を過ぎた普通のサラリーマンが、ある出来事をきっかけに毎日走り続けるそのモチベーションの数々。

ランニングコースいろいろ〜牟礼駅からのダウンヒルコース

岩本能史(のぶみ)というランニングコーチがいる。
平成21(2009)年、陸上経験ゼロでヘビースモーカーだった女性アイちゃんをわずか9か月でフルマラソン3時間13分を出すほどに成長させた『非常識マラソンメソッド』(ソフトバンク新書)で一躍脚光浴びた彼が、『型破り マラソン攻略法』(朝日新書)でその指南法をまとめた「非常識」なメソッドの数々は、10年たった今、ほぼ「常識」となりつつある。
市民ランナーのための市民ランナー目線での攻略法の数々。200kmを超えるウルトラマラソンの現役ランナーでもある彼の経験に裏打ちされたそれらのメソッドは、我々市民ランナーに大きな勇気と納得のいく結果を与えてくれるのである。
 
・マラソンは、食べるスポーツである。
(食べることにフォーカスされたのは意外にもここ10年くらいの出来事)
 
・カーボローディングは無理に行わない。
(本番直前3日間に炭水化物を強制的に摂取するカーボローディングは意外と総合的な効果に欠ける)
 
・「峠走」で速くなる。
(上りと下りでマラソンに必要な筋肉を鍛え、同時に心肺機能も高める)
 
・「15kmビルドアップ走」で速くなる。
(レースペース、1分速め、1分半速めのペースで走る5キロ×3は、42.195kmの縮刷版)
 
・ウォーミングアップはしない。
(練習量が少ない市民マラソンレベルではむしろスタミナロスが心配)
 
これらが、彼のメソッドの中心でもあり、私がマラソンの練習を始めてからの4年半で実践してきていることである。
彼のメソッドについては、第17回長野マラソンがフルマラソンのデビューでフルマラソン同期でもある高校同級生のN藤君と一緒にその効果の検証とブラッシュアップを行っている。それらの作業は、実に楽しく、心の底からワクワクしてくるものである。そしてそれらは間違いなく、走り続ける上での大きなモチベーションとなっている。
例えば峠走。例えばビルドアップ走。そして、本番前の直前練習。N君も私も、岩本能史氏によって示されたメニューを自分なりにアレンジし(仕事との兼ね合いなどでせざるを得ない場合が大半だが)、自慢し合いもとい報告し合いながら本番当日を迎えるのである。
 
外せないのが本番7日前の「ダウンヒル走」である。これは、「太もも前側の大腿四頭筋を中心とする着地筋の鍛錬」で、峠走で鍛えた着地筋に最後のダメを押すもの。翌日、翌々日は、激しい筋肉痛に見舞われるのだが、それが残り数日での超回復を経て30キロの壁をやすやすと乗り越える強烈な着地筋に仕上がるのである。
このダウンヒル走に真剣に取り組んだのは、4回目の長野マラソン挑戦の7日前。それまでの3回の失敗ランで、いろいろと考えた敗因の数々(ペース配分やコース取り、食べ物飲み物の補給法やシューズやウェアの調子等)は、ひとえに風の前の塵に同じだったのではないか、元々の絶対的な走力不足に全てが起因しているのではないか、という結論に行き着いたからなのであった。
岩本氏は、「1度に走ってもいい距離は、月間走行距離の6分の1である。」
とも言っている。
これまでの月間走行距離が多い時で200km程度だった私は、絶対的な走力不足を痛感していた。そして、川内優輝選手の指導による「毎日走る作戦」と、エリック・ワイナイナ氏指導の「ダッシュ&腹筋強化」によって、確実にそして自然に走行距離が増え、直前4か月は300kmをゆうに超える走行距離をこなしていた私が、仕上げの一発にこのダウンヒル走をチョイスしたのは極めて自然な流れであった。
 
そして桜が咲く平成30(2018)年4月8日。私は、実家からの最寄り駅の一つ、三才駅まで徒歩でゆっくり向かい、しなの鉄道北しなの線に乗った。目指すは長野市の北、飯綱町にある長野市ベッドタウン福井団地。県道60号線、いわゆる北國街道の最高点から長野市街に向かって一気にダウンヒルを行うためである。
ダウンヒルだけを純粋に行うため、最高点まではゆっくり歩いていく。そして、いつものとおりウォーミングアップなしで走り始める。歩きとはいえ既に30分ほど登り坂を経由しているため、身体は温まっていた。
いきなりの下り。スタミナ満載で下り坂を走るのは初めてだったため、かなり新鮮であった。速い速い。自分でもビックリするほどスピードが出る。そして気持ちがいい。北島康介選手が金メダル獲得で叫んだあの台詞が頭を駆け巡る(笑)。
そして実家までの8kmをそのままの勢いで走り切る。桜が満開で日射しもあり、汗だく。いい走りができて大満足であった。
そしてこの走りが、大筋肉痛と超回復を生み、7日後の長野マラソン本番でその成果を発揮するのである。
 
となったかどうか(笑)。
 
読者の皆さんは、次回のブログ「4回目の本番〜第20回長野マラソン」をお楽しみに。

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長野市街を一望しながら一気に駆け下る