なぜ私は毎日走っているのか。フルマラソン・サブ4(サブフォー)への道

50歳を過ぎた普通のサラリーマンが、ある出来事をきっかけに毎日走り続けるそのモチベーションの数々。

登山でトレーニング〜焼岳

上高地というところは、ハードルが高くていけない。
高度成長時代に急激に観光地化が進んだ上高地。世界的に有名であるが故に、長野県内でありながらどことなく都会の近寄り難い感じがあって、ずっと近寄っていなかった(笑)。
ハイヒールで行く女性が多いとか、マイカー規制がどうとか、大正池からは白樺が生えているとか(いやいや生えているところに池ができたんだって(笑))、そんな数々の情報は小学生の頃から教科書などから得ていたが、未だにそのような形でしか情報が得られていないというのがいかにも近寄り難い都会的なところの象徴となっている。
 
そんな上高地を上から見下ろす位置にあり、かつ、日本百名山であり、かつ、日帰り登山ができる山があると「信州百名山(清水栄一著)」で読んでから、これは行くしかないと狙いを定めたのが焼岳2,455mであった。
焼岳は、北アルプスの稜線上にあり、北アルプス唯一の活火山で、別名硫黄岳。そもそも大正池ができるきっかけになったのが、大正4(1915)年の焼岳の大噴火であったという。平成新山雲仙普賢岳の噴火、昭和新山は北海道有珠山の噴火ででき、大正池は、焼岳の噴火でできたのである。
近寄り難かった上高地へのアクセスの様子を下見することも兼ねて、平成30(2018)年10月21日に、私は焼岳への挑戦を実行に移した。
 
夜明け前、長野市内の実家から車で2時間ほどで登山口がある安房峠付近までやってきた。国道158号安房トンネル(安房峠道路)に入ってしまうと長さ5.6km、岐阜県にかなり入ったところに出てしまうので、そうならないよう注意深く進む。
かつて、岐阜県に通じるルートは、安房峠に至る九十九折りの狭い峠道であった。大型観光バスで行楽シーズンには大渋滞。しかも積雪のため冬季は閉鎖。そんな交通難は、平成9(1997)年の安房トンネル完成によって通年アクセスが可能になるまで続いたのである。最近のことではないか。
そしてその国道158号の中ノ湯から上高地へ向かう県道24号線は、通年でマイカー規制が行われ、一般車は通行できない。上高地に入るためには車を長野県側の沢渡(さわんど)駐車場か岐阜県側のアカンダナ駐車場に止め、シャトルバスかタクシーを使うのである。けっこう面倒だ。
県道24号線への入口には一般車両の誤進入に備えて民間の警備員が立っており、何だか物々しい雰囲気であった。
 
5時30分、登山口付近に車を止めて登り始める。1時間ほどして樹林帯を抜け、眺望が良くなる。山頂までのルートのほぼ全てを見ることができ、左に振り返ると飛騨山脈の続きに乗鞍岳御嶽山が見え、右に振り返ると松本盆地が一望できた。
山頂付近の噴火口から上がっているのであろう噴煙が風になびいて斜め上に立ち昇っているのが遠目にクッキリと見え、青空とのコントラストが美しい。
気温は0℃。市街地にはまだ夏の余韻が残るこの時期に、登山道の脇に霜柱や氷が見られ、北アルプスの厳しさを感じる。この辺りから岐阜県側から来たという若者男子3人組と同道させていただく。リーダー君が焼岳経験者ということで、右前方に見える雄大西穂高岳奥穂高岳前穂高岳、がどれがどれだか教えてもらえてよかった。
 
何とか噴火口周辺のプチ外輪山の稜線までたどり着き、噴煙を間近で見る。近づき過ぎるととても危険なので、注意深く危なくないように写真を撮る。シューシューと音を立てて上がる噴煙が作り出す白と黄色の世界はまさに別世界。異空間である。
その山頂付近、白と黄色の世界を時計と反対回りに巻くようにグルっと登ると山頂(北峰)に着いた。7時40分。コースタイム3時間のところ、2時間10分といったところだった。
眼下に広がる上高地の盆地としての雄大さに驚き、西穂、奥穂、前穂の連山の山肌が雪でしっかり白くなっていることに驚き、そしてその穂高岳の向こう側に槍ヶ岳の雄姿がしっかりと見えたことに感動した。槍をいつもと反対の側から見たのは初めてであった。
 
男子3人組は、山頂に着くとリュックの中からダウンジャケットなどの防寒着を出して着用した。慣れてるなと思った。この時期の山頂はすでにかなり寒い。ほぼ真冬である。山頂でゆっくりしたいのなら防寒着は必須。私は一つ勉強になり、以後それを実践することになる。薄手のダウンはそんなふうに使うのか、と、目からウロコであった。彼らは、登ったルートではなく上高地に通じるルートを使って降りていくという。どうもありがとうございました。
 
下山後、時間と体力に余裕があったので、
松本市街をグルっとランニング。国道19号沿いに車を止め、日本全国日本晴れの中、観光客ウジャウジャの中を颯爽と駆け抜けた(笑)。松本城からあがたの森公園松商学園までぐるっと回り、南側を流れる薄川(すすきがわ)に沿って国道18号に戻る10kmコース。
 
「ところどころ松本マラソンのコースが被って楽しかった!」
 
10kmを走り終えて書いたSNSジョグノートへの記入時刻は14時29分。まだまだ時間がある。上高地と焼岳は思ったよりもずっと近かったのであった。

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手軽に活火山を堪能できるのが魅力の焼岳